地理空間情報活用技術を第4次産業革命のフロントランナーに―。政府は24日、2017年度を初年度とする「地理空間情報活用推進基本計画(第3期)」を閣議決定した。産官学が協調し、21年度までの5年間に高精度で利用価値の高い地理空間情報をリアルタイムで利用できる環境を整備する一方、地理空間情報の高度利用による新産業・新サービスの創出や社会的な課題の解決を目指していく。
新しい基本計画は、IoT(モノのインターネット)・ビッグデータ・AI(人工知能)などの先端技術を生かした「世界最高水準のG空間社会を実現させる」と高らかにうたった。
その上で、わが国の「目指すべき姿」として▽災害に強く持続可能な国土の形成への寄与▽人口減少・高齢社会における安全・安心で質の高い暮らしへの貢献▽地域産業の活性化、新産業・新サービスの創出▽新しい交通・物流サービスの創出▽地理空間情報を活用した技術や仕組みの海外展開、国際貢献の進展―の五つの目標を設定。これらの「目指すべき姿」を実現するため、高精度で利用価値の高い地理空間情報をリアルタイムに高度利用できる基盤・環境整備を行う方針を示した。
具体的には、2016年11月に開設したG空間情報センターを中核に、産官学が連携し、地理空間情報を活用するための新しい仕組みを構築、社会基盤として定着させる。
また、準天頂衛星システムや電子基準点網を高度化し、高精度で、高い信頼性が担保された屋内外の測位サービスをさまざまな分野で展開していくための環境整備を行う。
ドローンなどのUAV(小型無人機)の急速な普及によって今後需要の拡大が予想される高精度な3次元地理空間情報を、円滑かつ一元的に取り扱えるようにするための標準的な仕組みなども整備する。
こうした社会的要請に応えていくため、準天頂衛星やリモートセンシングデータの利用拡大に役立つ衛星測位技術や地理空間情報技術の研究開発基盤を維持、強化する。同時に地理空間情報に関するリテラシー教育・人材教育の枠組みも確立する。
これらの基盤・環境整備によって、▽訪日外国人や高齢者・障害者などに対する屋内外のシームレスな移動支援▽交通結節点での高度な案内サービスの提供▽自動車の自動走行―などの新たなサービスを創出し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、地理空間情報を高度に活用するわが国の姿を全世界にショーケースとして提示する。
提供:建通新聞社