日本電設工業協会(電設協、山口学会長)は23日に定例理事会を開き、国土交通省と建設業振興基金からの求めに応じて「建設キャリアアップシステム」の開発に1000万円を出損することを決めた。また、システムの運営に電設業界の意見を反映させるため「建設キャリアアップ運営協議会」にも参加することを了承した。
理事会後に会見した山口会長は「長期的な視点に立った場合、(建設キャリアアップシステムは)技能労働者のためになるシステムだ」との認識を示した。
その一方で、「技能者登録料(仮称)や事業者登録料(仮称)、システム利用料など技能者と事業者の負担が明確になっていない」などと指摘。まだ大きな課題が残されているとの見方を示した。
この日の理事会に先立って行った国交省幹部職員との定例懇談会でも「事業者登録の有無によって公共工事で差別化する考えがあるのか否か」を国交省側に確認し、「運用開始段階から差別することはない」との回答を得たことを明かした。
また、長時間労働の是正についても意見を交換し、「国の働き方改革の目指す方向性と、建設業の実態には大きな隔たりがある」(山口会長)として、国交省に「建設業の生産性を向上させる方策の必要性、特に工期設定を弾力化させる必要」について理解を求めたことも説明した。
さらに、山口会長は民間工事における工期設定の弾力化への取り組みについても触れ、「電設協の人材委員会にタクスフォースを設置して、民間工事の現場での実態を把握、整理しているところだ」と話し、課題を整理でき次第、国交省、元請け団体、設計関係団体などに「柔軟な工期設定を求める要請活動を行いたい」との考えを示した。
提供:建通新聞社