国土交通省は3月22日、建設産業政策会議の地域建設業ワーキンググループの2回目の会合を開いた。国交省はこの中で、受発注者双方にインフラの維持管理体制に対する不安が広がっている現状を報告。都道府県でも7割が10年後の体制に懸念を持っているとした。そして、受注者側では共同受注、発注者側で民間委託の積極的な活用などにより、体制を補完すべきとの論点を示した。また、地域経済の活性化や雇用の受け皿の役割を担う地域建設業に対し、市町村が振興策を積極的に講じる必要も示した。
国交省は、WGで地域建設業の将来展望や関連制度の見直しを検討するため、都道府県・市町村、建設業団体、建設企業を対象にアンケート調査を行った。
調査結果によると、自治体・建設業側のいずれにも、維持管理の担い手不足に対する不安が強い一方、安定的な受注機会が確保でき、応急復旧の体制も確保できる共同受注に期待する声が高い。
ただ、共同受注に対しては、競争性の確保についての懸念や、「幹事企業の負担が大きくなり、構成者の負担に不均衡が生じる恐れがある」といった意見もある。国交省は、競争性の確保に配慮しつつ、共同受注を推進する必要性を示した。
発注者である市町村でも技術職員の不足傾向が顕著だ。発注関係事務の運用を職員のみで行っている都道府県は33団体あるが、10年後に職員のみで運用できると回答したのは14団体しかなかった。市町村には、既に県の外郭団体や民間委託を活用しているところも多く、国交省は、将来にわたって発注体制を維持することが困難な自治体が民間委託を積極的に活用すべきとの論点を示した。
この他、会合では、国交省が地域建設業の経営に関する論点も示した。このうち、農業や林業など、建設業周辺の需要を取り込む新分野進出について、各企業で想定通りに行かなかった事例も踏まえ、再検討する必要性を提示。技能労働者の雇用の安定化を図るため、一時的に余剰となる労働力の需給調整を行う「就業機会確保事業」を活用する方向性も示した。
提供:建通新聞社