国土交通省は、2017年度から、建設生産プロセス全体でプレキャストコンクリート製品を採用しやすい枠組みを整える。概略設計で、路線全体・事業全体で同一構造を採用し、後工程でプレキャスト製品を活用しやすくする配慮事項を設計業務の共通仕様書の中に明確化。予備設計では、現場打ちとプレキャストを比較する際、直接工事費だけでなく、仮設費や交通規制費などを含めてコストを比較するよう、各地方整備局に通知する。
構造を決定する後工程で全体最適を実現する技術導入を妨げることのないよう、上流の概略設計段階で配慮すべき事項を設計業務の共通仕様書に位置付ける。路線全体・事業全体で形状を単純化したり、主要部材を標準化することで、プレキャスト製品の活用を阻害しないように配慮する。
概略設計以降の工程に伝えるべき事項を「生産性向上設計留意書」にまとめ、後工程に引き継ぐ。
現在、プレキャスト製品は、現場打ちと直接工事費のみのコストを比較される。直接工事費だけをみると、プレキャスト製品は割高になるため、採用を阻害する要因の一つになっている。
工場で製作されるプレキャスト製品は、仮設費(土留め工等損料、冬季施工時の雪寒仮囲い、水替えなど)、交通規制費用、土砂等処分費用などが圧縮されるため、工事費全体では現場打ちとの価格差は大きくない。国交省は、予備設計段階でこれら直接工事費以外の価格を含めて比較検討するよう、近く各地方整備局に通知する。
この他、プレキャスト製品の実態に合った積算手法も検討する。プレキャスト製品は、材料費に一般管理費等や共通仮設費、現場管理費なども含まれているが、現行の官積算ではこうした実態が反映されていない。現場打ちと適正にコストを比較できるよう、積算体系にこれらの実態を反映できないか検討する。
提供:建通新聞社