国土交通省は、2017年度から直轄工事の監督・検査にICT技術や非破壊試験を導入する試行を開始する。施工データの自動計測やクラウド管理、映像記録の活用により、不正行為の抑制を図る他、鉄筋コンクリート構造物で非破壊試験を活用し、監督・検査の効率化を図る。ISO9001活用工事や第三者品質証明の運用を改善することも検討する。
落橋防止装置、地盤改良工事、基礎杭工事で相次いで施工データの改ざんが発覚したことを契機に、監督・検査の方法を見直し、不正行為の抑制や効率化を図る。
ICT技術は、既製杭、場所打杭、固結工を対象に技術提案を募り、施工データの自動計測やクラウド管理による監督・検査を試行する。道路・河川分野の土木工事では、映像記録を使った材料確認を試行する。
非破壊試験の対象工種はコンクリート上部工・下部工、ボックスカルバート工。測定精度の高い鉄筋本数などは段階確認の頻度を軽減するが、精度の検証が必要な鉄筋間隔などは従来通りの頻度で段階確認を行う。
いずれも、17年度に各地方整備局で数件程度を試行し、従来の監督・検査方法と比較、検証する。
一方、監督業務を充実させるため、ISO9001を認証取得した受注者自らが品質管理を行うISO9001活用工事の運用改善も検討する。改善後は、受注者側の品質マネジメントシステムが確実に運用できるか、工事着手前に監督職員が監査した上で、1工事当たり1回以上、受注者による内部監査、協力会社に対する監査、第三者機関による監査を行う。これらの改善により、監督職員による施工中の臨場確認を省略する。
受発注者以外の第三者が受注者の品質管理をサポートする第三者品質証明は、第三者の中立性が確保されなかったり、第三者の瑕疵(かし)に対するリスク分担が不明確といった課題がある。第三者の中立性を確保するため、資格制度の創設を検討する他、瑕疵(かし)に対する対応方針などを検討する。
提供:建通新聞社