勤労者退職金共済機構・建設業退職金共済事業本部(建退共、稗田昭人本部長)は、「口座振込・振替方式」の実証実験を2017〜18年度にかけて実施する。対象として10数現場を選び、口座振込・振替による掛金納入手続きを行ってもらう。条件が整えば、建設キャリアアップシステムの活用を組み合わせた実験も行う方針だ。
3月16日に開いた運営委員会・評議員会で同方式の検討が了承されたことを受け、実証実験を行うことにした。
実証実験では、▽専用サイトや掛金引落口座の登録▽被共済者名簿の作成▽実際の掛金納入に伴う手続きの実施▽終了後のアンケートへの回答―などを対象となった現場で行ってもらう。対象現場は、建退共の各支部による依頼などを通じて選定する考えだ。
また、中小企業退職金共済法により、現行の「証紙貼付方式」が義務付けられていることから、共済証紙の購入や貼付などの手続きは、対象現場の企業らが建退共本部に委託する形で行うことになる。
建退共では今後、実証実験に向けて必要な業務の委託手続きに着手する考え。システム開発や、実証実験の進捗(しんちょく)管理などがその内容で、5月頃に委託先を決める。
口座振込・振替方式は、共済契約者が金融機関に掛金引落口座を登録し、金融機関が共済契約者の掛金支払い申し出に基づき、建退共の口座に入金するもの。共済契約者はこの他、現場労働者の就労実績を把握・報告することが求められる。
掛金についても、現行の単一金額(日額310円)を改め、高額の掛金も設定可能とする方向だ。
現行の「証紙貼付方式」による掛金納付、掛金日額の設定は、いずれも中小企業退職金共済法で定められている。このため、口座振込・振替を含めた新たな納付方式を導入するには法改正が必要となる。
提供:建通新聞社