国土交通省は、2016年4月から直轄の営繕工事で試行していた「入札時積算数量書活用方式」を17年度から本格実施することを決めた。同方式では、発注者が示す積算数量書に疑義が生じた場合、受発注者が協議して数量を訂正し、契約変更できる仕組み。数量書の修正や変更契約を「契約事項」に位置付け、強制力を持たせたのが特徴だ。同省は、本格実施への移行に伴い、同方式の導入を地方自治体に強く働き掛ける方針だ。
3月14日、大臣官房官庁営繕部から地方整備局などの営繕部長宛てに本格実施への移行を指示する文書を送った他、地方自治体にも周知を図った。
積算数量書は、参考資料として入札参加者に公開されている。しかし、契約後に数量に誤りが分かった場合の発注者の対応にはバラツキがあった。入札時積算数量書活用方式では、積算数量書に誤りがあった場合、受注者の申請に基づいて受発注者で協議し、数量の修正や契約変更を行うことを工事請負契約書に明記。一連の手続きを契約事項と位置付けている。受発注者の協議で誤りが確認されれば、発注者は契約変更に応じなくてはならない。
国交省は、16年4月1日以降、競争入札を採用した全ての営繕工事で同方式を試行。試行した289件のうち、受発注者が協議を行った工事は9件で、契約変更に至った工事は4件(変更予定含む)だった。受注者に対するアンケート調査や建設業団体との意見交換で、大きな課題を指摘する声がなかったことから、本格実施への移行を決めた。
直轄の営繕工事での試行を踏まえ、既に同方式の試行を開始した都道府県もある。同省では、技術職員が不足している自治体ほど積算数量書に誤りが多いとみており、本格実施を契機として、自治体に同方式の活用を呼び掛ける。
提供:建通新聞社