石井啓一国土交通相は3月14日の閣議後の会見で、直轄の工事と調査・設計業務の低入札価格調査基準を引き上げると発表した。工事の低入札価格調査基準では、直接工事費に含まれる労務費の算入率を現在の95%から100%に変更。これにより、直接工事費の算入率は現在の95%から97%となり、調査基準価格の平均値は予定価格の約90%に上昇する。調査・設計業務は、測量業務の諸経費と土木コンサルタントの一般管理費等の算入率を45%から48%にそれぞれ引き上げる。工事・業務ともに4月1日以降に入札公告する案件から適用する。
国交省が工事・業務の低入札価格調査基準を引き上げるのは2年連続。石井国交相は今回の基準引き上げについて「建設業の働き方改革を考慮し、現場作業員の賃金に当たる労務費の算入率を変更する。これにより、公共事業の品質確保や賃金の適切な確保を図る」と話した。
現行の工事の低入札価格調査基準価格は、予定価格の70〜90%の範囲内で、直接工事費の95%、共通仮設費の90%、現場管理費の90%、一般管理費等の55%で設定している。4月1日以降に入札公告する直轄工事では、直接工事費を構成する機械経費・労務費・材料費のうち、労務費の算入率を95%から100%に引き上げる。
労務費の算入率を引き上げることで、直接工事費の算入率は95%から97%に変更される。低入札価格調査基準価格の平均値は現在の予定価格の約89%から、設定範囲の上限である約90%まで上昇することになる。
一方、業務の低入札価格調査基準は、本社の従業員の賃金、光熱費、家賃などで構成する測量業務の諸経費と土木コンサルタント業務の一般管理費等の算入率を45%から48%にそれぞれ引き上げる。今回の見直しにより、調査基準価格の平均値は設定範囲の上限である予定価格の約80%になる見込みだ。
提供:建通新聞社