2017/03/10
連載「測る、描く、守る」 第18回・3つのオープン施策
皆さんは、今ではウェブの地図を当たり前のようにお使いですね。これをもっと使いやすいものにしていくには、どうすればよいのでしょうか。国土地理院はこの問いに対し、三つのアプローチでチャレンジしています。
その一つは地図のデータを広くオープンにすることです。これにより、地図を利用するさまざまなシステムやアプリが世の中に生まれていき、ユーザーは目的に応じてシステムやアプリを使い分けることができます。国土地理院では、ウェブ地図「地理院地図」でご覧いただける地形図、空中写真(航空写真)、標高、地形分類、災害情報などの地理空間情報を、さまざまなシステムやアプリなどで利用できるようにオープンデータとして提供しています。
二つ目は、地図だけでなくウェブ地図技術のノウハウも開示して、知識や経験、ひらめきのある技術者がどんどん改良を加えることができるようにすることです。より優れた技術が世の中に生まれ、その技術が流通していくことが期待できます。国土地理院では、地理院地図のソースコードを、オープンソースとしてインターネット上で公開し、自由に改良できるようにしています。
三つ目は、産学官民といった所属を問わず、情報交換とディスカッションの場を設け、全体の底上げを図ることです。多様な分野における利用状況や技術を共有することで、イノベーティブ(革新的)な成果も生まれやすくなります。
国土地理院は、多様な分野の技術者をパートナーとする「地理院地図パートナーネットワーク」を構築し、パートナー同士の交流、技術向上を支援しています。
このパートナーネットワークをきっかけとして、CIM、防災、気象、除雪管理、自治体統合型GISなど、さまざまな分野で国土地理院のデータを利用したシステム・サービスが創出されています。これが国土地理院の進める「オープンイノベーション」です。これらの「オープンデータ」「オープンソース」「オープンイノベーション」の施策を「3つのオープン施策」と名付け、皆さんと一緒になって地理空間情報がもっと使いやすいものとなるよう、引き続き取り組んでいきます。(国土地理院)