国土交通省は、建設産業政策会議に建設業の企業評価の在り方を議論する「企業評価ワーキンググループ」を立ち上げ、2月27日に初会合を開いた。国交省は、経営事項審査の改正により、生産性向上や働き方の改善といった政策誘導の要素を強めたり、建設企業の倒産減少などを踏まえた経営状況(Y点)の評価、建設工事以外の分野も含めた経営規模(X点)の評価を見直す、今後のWGの論点を提示。経審の申請手続きを巡る企業・許可行政庁の負担軽減を図る必要性も示した。
企業評価WGでは▽建設業許可▽経審▽発注者別の競争参加資格審査▽総合評価方式▽下請け企業の選定―など、公共工事における一連の企業評価の在り方に加え、公共工事の企業評価情報を民間工事で活用する方策などを議論する。
国交省は初会合で、経審の評価軸・審査方法の見直しに向けた論点を提示。経審が建設企業の行動に影響を与えることを踏まえ、生産性向上、働き方改革、地域における建設企業の役割維持など、政策誘導の評価軸を加える必要性を示した。社会性等(W点)だけでなく、Y点の評価に企業経営における生産性の視点を盛り込むことも提案した。
経営規模の大小を反映させるため、完成工事高や自己資本額を評価するX点については、建設投資が右肩上がり≠ナないことや、建設工事以外の分野(CM、除雪など)を評価することも視野に見直しを検討。建設企業の利益率が向上し、倒産企業数が減少する中、Y点に経営状況を評価する企業経営・財務面の指標を盛り込むことも検討する。
一方、虚偽申請を防止するため、経審の審査書類が膨大になり、申請側の建設企業、審査側の許可行政庁の負担が重くなっている。大手ゼネコンになると、申請のための作業期間は2〜6カ月に上る。許可行政庁の担当者は7〜10月の繁忙期になると、1週間で20箱以上の申請書類を処理するという。申請・審査側双方の負担軽減を図るため、第三者による確認や監査の活用も検討課題の一つに挙がっている。
WGではこの他、民間工事の事業者選定における企業評価についても話し合う。建設業許可の申請時に提出される書類は閲覧できるが、消費者保護の観点で限界があるとして、経審を含めた企業評価情報の公開の在り方を議論する。
提供:建通新聞社