国土交通省が昨年12月から行っていた実態調査に、社会保険に未加入の下請け企業を選定しないと回答した元請け企業が81・3%に上ったことが明らかになった。前年度の調査から13・6ポイント増加。社保未加入対策の目標年次まで2カ月を切る中、元請け企業の下請けに対する対応が急速に進んでいる。法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)を提出するよう、全ての下請け契約の際に指導する元請けも8・5ポイント増の62・7%と着実に伸びた。
2014年度から行っている実態調査は、社会保険未加入対策推進協議会に参加する建設業団体を通じ、各団体の会員企業約3100社が回答。
調査結果によると、下請け企業が未加入の際の対応として「選定しない」と回答した元請け企業は36・1%、「指導の後、加入確認できたら選定する」との回答が45・2%となり、合計81・3%の元請け企業が、企業単位で未加入の下請けを排除している。15年度の調査結果と比べると13・6ポイント、14年度調査と比べ21・3ポイントの増加だ。
下請け企業の従業員が未加入の際も、「下請け企業として選定しない」との回答が21・7%、「指導を行い、加入が確認できたら入場を認める」が46%、「現場入場を禁止」が9・1%と、合計76・8%(前年度比13・8ポイント増)の元請け企業が労働者単位の加入を指導している。
一方、社会保険料の原資となる法定福利費を支払う元請け企業も増えている。全ての下請け契約で法定福利費を含む見積書の提出を指導している元請け企業は、62・7%で、前年度の割合を8・5ポイント上回った。
下請け企業に、元請け・上位下請けから標準見積書提出の指示の有無を問うと、契約の8割以上で指示を受けている下請け企業が30・2%、5〜8割程度で指示を受けている下請け企業が23・9%だった。指示を受けていないとの回答も14・5%あった。
標準見積書を提出した際の元請けの反応では「内訳明示した法定福利費を含む見積もり金額全額を支払われた」と回答した下請け企業が54%で、前年度から8・1ポイント増加した。
提供:建通新聞社