全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は、2017年度の事業計画を決めた。設立70周年の関連事業の他、「働き方改革行動憲章(仮称)」の策定、建設キャリアアップシステムへの対応などを盛っている。安定的な公共事業予算の確保に向けては、事業量の地域間格差などが拡大しつつあることから、実情を踏まえた地方への重点的配分を提言・要望していく方針だ。
行動憲章は、政府の「働き方改革実現会議」が今年3月にまとめる実行計画を踏まえたものとする。地域の建設業界が目指すべき働き方の方向性を明らかにし、健康確保やワークライフバランスの改善、生産性の向上などへの取り組みを加速化させるのが狙い。17年度中の策定を予定している。
建設キャリアアップシステムへの対応では、地域建設業が参加しやすい環境の整備を訴えていく。それとともに、社会保険料や建設業退職金共済(建退共)掛け金、安全経費などの積算に関わる公共と民間の格差是正、公平で客観的な建設技能労働者評価基準の策定などを要望する。システムの運用開始後は、技能労働者の囲い込み、元下関係への影響などの把握に努める予定。
安定的な公共事業予算の確保、特に地方への重点配分を盛った背景には、地域間、企業間の格差拡大がある。建設総合統計など公的資料に基づいて全建がまとめたデータによると、東京都と地方の工事費、また、大規模企業と中・小規模企業の利益率について、その格差が拡大している。このため、全建では、地域懇談会・ブロック会議などを通じて、具体的な根拠を示しながら提言・要望していく。
事業計画にはこの他、品確法と運用指針のさらなる徹底に向けた情報収集や要望、生産性向上のための提言・要望、社会資本の維持管理分野・まちづくりへの取り組みなどが盛り込まれている。このうち、維持管理分野・まちづくりについては、除雪作業に関する調査を行う。短期間の大量降雪に見舞われた今冬の状況を把握し、必要な改善策を探る考え。
提供:建通新聞社