国土交通省は、直轄事業の土木設計業務で適正な履行期間を確保するため「標準的な履行期間案」を作成する。土木設計業務では、契約から最終的な設計条件が確定するまでに一定期間を要するため、必要な履行期間を確保できず、そのことが設計成果物の単純ミスにつながるとの指摘がある。2017年度上半期をめどに、設計条件確定までの期間を見込んだ標準的な履行期間を工種ごとに整理し、まず設計の修正箇所の多い橋梁詳細設計業務で試行する。
2月20日に開いた「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」で、建設コンサルタンツ協会(長谷川伸一会長)の求めに応じ、国交省が対応策として示した。
建コン協が行ったアンケート調査によると、設計成果物で単純ミスが発生する要因として、会員企業の24%が「設計・照査期間の不足」を挙げている。工程管理の不備、設計条件確定の遅れ、大幅な設計変更などを理由に、会員企業が必要と考える履行期間と実際に確保された履行期間には、約2カ月の差が生じているという。
こうした声を踏まえ、国交省は土木設計業務の適正な履行期間を確保するため、履行期間の算出方法などを整理した「標準的な履行期間案」を作成する。建コン協の指摘を踏まえ「設計条件確定までの期間」を過去の実績などから算出。この期間に事業規模と実質的な作業期間を示す「条件確定後の必要期間」を合わせ、標準的な履行期間案として示す。
この標準的な履行期間案を各工種で2017年度上半期中に整理するとともに、橋梁詳細設計で試行する。単純ミスの防止に加え、適正な履行期間の確保による納期末の繁忙解消で、若年層の入職促進にもつなげる。
設計成果物の単純ミス防止に向け、同省は、受発注者が合同で行う現地踏査の運用も改善する。17年度から実施時期を柔軟に設定したり、実施回数を追加できるようにする。また、建コン協と共同で「(仮称)施工条件明示チェックシート」を検討し、設計意図が施工者に明確に伝わるようにする。
提供:建通新聞社