建設業情報管理センター(CIIC)は、同センターが経営事項審査を行った中小建設業5万3364社を対象とする「建設業の経営分析(2015年度)」をまとめた。企業の収益性を現す「総資本経常利益率」は、前年度比0・55ポイント減の3・96%と、10年度から続いていた上昇傾向が一段落した。ただ、「自己資本比率」は2・63ポイント増の25・89%と4年連続で改善。利益剰余金が10・8%増加するなど、内部留保を確保する動きも見られた。
調査対象は、15年度にCIICに経営状況分析申請のあった建設業のうち、兼業売上高が総売上高の2割未満の法人組織。資本金5億円以上か負債総額200億円以上の大企業は対象外としている。
総資本経常利益率は、全体で0・55ポイント減の3・96%と6年ぶりに下降した。ただ、売上高の階層別では、5億円以上の企業は引き続き上昇しており、企業規模による利益の違いが出た。地域別では中部と四国を除く全地域で利益率が下降。特に、北海道、東北、北陸、九州・沖縄の減少幅が大きかった。
企業の健全性を示す自己資本比率は2・63ポイント増の25・89%。CIICが調査を開始した1989年以降では、2007年度に続く2番目に高い水準となった。売上高別に見ても、全階層で比率が改善している。利益剰余金は10・8%増の9780万円と伸びた。
生産性を表す技術職員1人当たりの完成工事高は、0・4%減の4043万8000円とほぼ横ばいで推移。売上高の階層別で見ると、総資本経常利益率と同様に、売上高5億円以上の企業で前年度を上回る傾向が出ている。
提供:建通新聞社