日本プロジェクト産業協議会(JAPIC、宗岡正二会長)は、東京湾の高度活用と環境配慮、名古屋新都心の創出、神戸中心部再整備構想などのプロジェクトを盛り込んだ、国土・未来プロジェクト研究会の提言を発表した。20〜30年後を見据え、全国各地で行うべき取り組みを列挙したもので、うち整備効果が高く実現に力を入れる18の取り組みを「重点推進プロジェクト」とした。今後、各地の経済団体や企業、自治体などと連携しながら、具体化を目指すとしている。
国土・未来プロジェクト研究会では提言のとりまとめに向け、全国各地で経済団体などとヒアリングや意見交換を行い、170に上るプロジェクト案をリストアップしていた。今回、これらを国土強靱(きょうじん)化や生産性向上といった観点から140件の「要素計画」に集約整理。さらに、特に重要なものを重点推進プロジェクトとして位置付けた。
このうち、東京湾の高度活用と環境配慮は、空港・港湾機能の世界標準化を目指す取り組み。具体的には、羽田空港の5本目の滑走路整備や、横浜港新本牧地区での世界最大級全自動コンテナターミナル整備などを挙げた。また、東京港の中で用途変更が必要なエリアは、中高層高密度の複合集積都市化を図るべきとしている。ゴミ処理場の排熱や自然再生エネルギーの活用も促進する。
名古屋新都心の創出は、中川運河の水辺空間整備を柱としたもの。沿川域の既存拠点と水辺空間整備を起点に民間投資を誘発することを基本的な方針とした。「ささしまライブ24」へのさらなる民活参入や、「みなとアクルス」の整備に伴う良質な居住空間整備などを目指す。運河そのものの整備では、緑地確保や護岸の耐震対策に努めるべきとした。
神戸中心部の再整備構想については、JR三宮駅の地下化、ポートライナーの新神戸駅への延伸、LRT・BRTの導入などを盛った。
提言ではこの他、愛鷹山の富士山眺望観光施設整備や静岡鉄道の延伸による「静岡県駿河周辺地区観光・交流振興プロジェクト」、単線方式による「『四国の新幹線』早期整備」などを重点推進プロジェクトとしている。
提供:建通新聞社