国土交通省は2月8日、建設産業政策会議の「法制度・許可ワーキンググループ」の初会合を開き、建設業法や関連制度の改正に向けた議論を本格的に開始した。国交省は初会合で、建設業法に「担い手確保」「働き方改革」「生産性向上」「消費者保護」といった視点を追加し、特に民間工事の受発注者に対する請負契約の規律を高める必要性を提示。民間工事の発注者に適正な工期・請負代金を設定する責務を課したり、建設業者に個人発注者に対する説明責任を課す考えを示した。
建設産業政策会議は、10年後も建設産業が現場力を維持できるよう、建設業法改正と関連制度の見直しを検討している。法制度・許可WGは、建設業法における請負契約や許可制度の見直しについて議論する。
初会合で国交省は、1949年に制定された建設業法の目的が、許可制度や民法の請負契約の上乗せ規制(書面交付義務など)などにより、不良不適格業者を排除することにあったと整理。労働力人口が減少し、地域によっては建設業の供給力が不足する懸念がある中、新たな視点で建設業法の規律を高める必要があるとした。
その上で、担い手確保・働き方改革・生産性向上・消費者保護といった政策的要請を踏まえ、受発注者が新たな規律を備えるべきと提案。具体的には、担い手の確保や働き方改革(長時間労働の是正、休日の確保など)に配慮した適正な工期・請負代金の設定について、発注者に責務を課すことを例示した。
また、発注の経験がないにも関わらず、当事者にとっては「一生の買い物」となる住宅の購入者らを保護するため、建設業者に個人発注者への説明責任を課す必要性も示した。建設工事の生産性を向上するため、発注者が用意する設計図書の精度を高める必要があるとも指摘している。
現行の建設業法と関連制度で求める規律が、公共工事と民間工事で異なることも今後の議論の焦点になる。品確法などの特別法や特別規定がある公共工事と比べ、民間工事の受発注者に対する規律は低い。WGの委員からも「エンドユーザーを意識した行政の積極的な介入が求められる」といった意見が挙がっていた。
建設産業政策会議には、今後「地域建設業」「企業評価」のWGも設置される見通し。同会議の来夏の提言に成果を反映させる。
提供:建通新聞社