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2017/02/08

地下工事の安全技術確立へ 有識者委が初会合

 国土交通省は2月6日、福岡市の七隈線延伸工事で起きた道路陥没などを受けて設置した、地下工事における安全技術の確立を目指す有識者委員会の初会合を開いた。同省では、地盤や地下水、地下埋設物などの正確な情報を把握できていないことが、道路陥没などの事故につながるとみており、有識者委でこれらの情報を関係者が共有する枠組みについて議論する。初会合では、データベース化が進んでいない民間の地盤情報を巡り、情報共有に向けた立法化の必要性を指摘する意見も挙がった。
 昨年11月に発生した七隈線延伸工事における道路陥没に限らず、地下工事では、道路陥没や地下埋設物の損傷などの事故が頻繁に発生している。空洞や埋設管の位置などが想定と異なっていたことが原因となるものが多いという。
 社会資本整備審議会・交通政策審議会技術部会に設置された「地下空間の利活用に関する安全技術の確立に関する小委員会」では、地下工事を巡るこうした課題を踏まえ、地盤・地下水・地下埋設物の情報共有の在り方と、情報共有による地下工事の安全性向上について検討する。
 地下空間の情報共有については、地盤情報の「国地盤情報検索サイト(Kunijiban)」などがあるものの、提供されている情報は公共工事の地質・土質調査の結果。初会合では「実際は周辺データが大事。民間のボーリングデータを取得する価値は大きい」「(民間の)協力が前提だとしても、立法化というハードルを越える必要があるのではないか」といった意見も挙がった。
 また、都市部の道路工事や地下埋設物工事の情報を蓄積する「道路管理システム(ROADIS)」など、既存のデータベースの正確性にも議論が及んだ。システムには、設計段階のデータが搭載されるため「現場で変更した結果が記録に残らない」といった声や、「既に使われていない埋設物なども、空洞を引き起こす可能性がある」という意見もあった。
 有識者委は、関係機関からのヒアリングなどを経て、6月に提言をまとめる見通しだ。

提供:建通新聞社