国土交通省は、ICTを活用した効率的な下水道事業の展開に向け、新たな取り組みを開始する。2月2日にはその一環として、BIM/CIMモデル事業の公募手続きを開始し、図面の3次元化による意思決定の迅速化や設計ミスの減少などを目指すことになった。募集対象は地方公共団体と、3次元モデル作成技能を備えた機関による共同事業体。2018年度までのモデル試行などを経て、20年度末にガイドラインを策定する方針だ。
BIM/CIMモデル事業の実施は、ICTを活用した下水道事業「i−Gesuido」の一施策として行うもの。おおむね20年後を見据え、設計・施工・維持管理の効率性を現在の約1・2倍の水準にまで向上させることを目標としている。
モデル事業では、処理場やポンプ場の土木・機械・電気新増設工事、機械・電気改築工事で図面の3次元化を実施し、その効果を検証する。
今後の取り組みとしてはまた、3次元モデルの全面導入に向けたガイドラインの策定や、標準歩掛などの基準類制定を行う予定。
i−GesuidoではBIM/CIMの他、施設管理の効率化を目指す「ストックマネジメント」、集中管理や自動化などを進める「水処理革命」、ビッグデータなどの活用による浸水対策「雨水管理スマート化2・0」を取り組みの柱に据えている。
いずれの柱も、おおむね20年後を見据えた作業の効率性向上を目標に設定。ストックマネジメントでは管渠の維持管理作業について現在の約4・4倍(15年1回の点検)、処理場・ポンプ場の維持管理作業について約1・2倍(生産労働人口の減少に対応)にまで効率性を高めるとした。
また今後は、排水水質監視による感染症の予兆把握や、高齢者世帯の見守りなど、他分野との連携も模索していく方針。
提供:建通新聞社