同一労働同一賃金、長時間労働是正などを話し合う政府の「働き方改革実現会議」で、時間外労働の上限規定である「三六(さぶろく)協定」の適用対象に、建設業の追加を求める意見が挙がっている。政府は、現行の三六協定による労働規制を強化し、罰則付きで時間外労働の限度を定める法改正を視野に入れている。同会議でも、建設業を協定の枠内に組み込み「(法改正に向けた)環境整備を着実に図ることが重要」といった声が出ている。
労働基準法36条に基づく36協定は、企業が労働組合などと労使協定を結ぶことで、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた労働を認めるもの。時間外労働には、労働時間延長の適正性を確保するため、1週間15時間・1カ月45時間の上限が設けられている。
ただ、自然条件に左右される建設業では、時間外労働に上限を設けることが困難だとして、三六協定の適用除外とされている。
これに対し、2月1日に開かれた働き方改革実現会議では、建設業を協定の適用対象とするように求める声が出た。
東京大学の水町勇一郎教授は、建設業について「公共の安全の確保の要請が極めて重要」とした上で、上限規制の対象とする必要性を指摘。全国中小企業団体中央会の大村功作会長は、建設業を協定の適用対象とすべきと述べる一方「人手不足の中で業務として調整できる時間的余裕が必要」と、適用除外の見直しに猶予期間を設けるべきとの考えも示した。
建設業では、本店・支店の管理部門に所属する社員も時間外労働の上限規定がなく、三六協定の適用除外であることに非合理性はある。ただ、土日休暇が一般的でない現場の技能労働者は、時間外労働ではなく、時間内労働が長い特徴がある。
このため、時間外労働を規制するのではなく、適正な工期設定、施工時期の平準化、生産性向上などによる週休2日を実現することで、長時間労働を是正すべきとの意見も一方である。
提供:建通新聞社