国土交通省は、「水資源開発基本計画(フルプラン)」を抜本的に見直す考え。大規模災害や水インフラの老朽化などに対応する「リスク管理型」の水の安定供給を目指すためだ。1月24日には国土審議会水資源開発分科会調査企画部会が開かれ、今後のフルプランの在り方についての審議が始まった。
フルプランは、水資源の総合的開発や利用の合理化、供給目標を達成するためにダムなど必要な施設建設の在り方などを示したもの。現在、利根川・荒川、豊川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川の7水系で計画が策定されている。
現行のプランで予定された開発水量の確保は、おおむね達成される見通し。その一方で、水インフラの老朽化や、南海トラフ地震など巨大災害への対応といった課題が残されているのが現状だ。地球温暖化に伴う渇水リスクも指摘されている。
そこで、2016年12月に石井啓一国土交通相が国土審議会に対し、フルプランの在り方について諮問。具体的な審議は水資源開発分科会の調査企画部会で行われることになった。答申のとりまとめは、16年度内を予定している。
調査企画部会は、次期フルプラン策定の考え方などを話し合うことにしている。24日の会議では、危機時においても水を確保するため、既存施設の徹底活用を基本とするハード対策と、被害を最小限に抑えるためのソフト対策が必要との考えが示された。
このうちハード対策については、送水管路などの二重化、連絡管の整備、耐震対策、維持補修・老朽化地策、ダム群連携といった施策が盛り込まれた。
今後は2月に開催する第2回会議で、新たなフルプランの在り方の原案を固める。この内容を受けた答申は、3月の水資源開発分科会でとりまとめられる方向。その後、すみやかに各水系のフルプランを見直すことになる。
提供:建通新聞社