国土交通省は1月24日、「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」を開き、新技術の現場導入を促す新たな総合評価を直轄工事で試行する考えを示した。入札参加者が提案し、第三者委員会の審査を通過した新技術を現場に導入する「新技術導入評価型」を検討。これまで発注者が技術提案の際に求めていたテーマに代え、入札参加者に新技術に関する自由提案を募る「新技術導入提案型」の導入も検討している。2017年度に開く次回会合で詳細を詰める。
直轄工事の総合評価では、NETIS登録技術の活用実績を評価しているが、新たな総合評価の試行で、i−Constructionに関連するAI(人口知能)やIoT(インターネット・オブ・シングス)などの現場導入を後押しする。
新技術導入評価型では、受注者からの技術提案を通じて新技術の現場導入を促進する。入札公告時点で設定する評価テーマに加え、参加者独自の提案事項と対策案(概算費用含む)を盛り込んだ「技術向上提案」を求め、成立性と信頼性の観点で審査・評価する。
技術向上提案の履行は当初契約には含めず、実施コストを計上しない価格で入札。落札者の提案は第三者委に諮り、現場導入の可否を判断する。現場に導入する技術向上提案は設計変更で発注者がコストを負担。契約後に現場導入の可否を判断するため、通常の積算・入札が可能となるという。
一方、新技術導入提案型では、発注者が技術提案の視点などを明示する指定テーマに代えて、技術提案の視点を限定せず、入札参加者に新技術活用に関する自由提案を幅広く求める。
新技術の現場導入には、施工者の持つ技術・ノウハウを設計段階から反映する技術・提案交渉方式も活用する。同方式の技術協力・施工タイプで、通常の工法では課題が克服できない事業や3次元データ活用で現場の効率化が期待できる事業を選定。設計段階でより現場の実態を踏まえた工法を選定できるようにする。
◇若手技術者=企業の支援体制を評価
懇談会ではこの他、担い手の確保・育成を後押しする入札契約制度についても議論。若手技術者の配置を促す入札契約方式では、若手の主任・監理技術者をサポートする専任補助者の実績を評価する「タイプU」を見直す。技術者2人を専任する負担が重いという意見を踏まえ、現場に対する技術的支援や非専任の技術者のサポートなど、企業としての支援体制を評価する。くるみん認定やえるぼし認定など、ワークライフバランス関連の認定を受けた企業に対する加点措置も各地方整備局に展開する。
提供:建通新聞社