国土交通省は、熊本地震の復旧・復興工事を加速化するため、直轄工事で復興係数などの施工確保対策を導入することを決めた。熊本県内では、ダンプトラックが不足し、作業効率が低下しているため、2月1日以降に契約する全ての土木工事で、共通仮設費と現場管理費を1・1倍とする復興係数を導入。歩掛りの日当たり標準作業量を20%低下させる復興歩掛りも同日から適用する。予定価格ベースで3〜4%を上昇させる効果があるという。労務費のモニタリング調査にも着手し、機動的な公共工事設計労務単価の改訂に備える。
1月20日、蒲島郁夫熊本県知事の要望に応じ、石井啓一国交相が施工確保対策の実施を表明した。
同県発注工事では、不調・不落の発生率が16年10月の9%から同年12月に19%と上昇しており、対策によって復旧・復興工事を加速する。
まず、直轄工事では、東日本大震災の被災地に導入された対策を参考に円滑な施工確保を講じる。復興係数は県内発注の全ての直轄土木工事を対象に間接工事費を割増し補正するもの。熊本県内では、共通仮設費、現場管理費ともに1・1倍に補正する。歩掛りは土工関係歩掛りの日当たり標準作業量を20%%低下させる復興歩掛りを導入する。
労務単価については、一部の市場単価に上昇の兆候が見られたことから、労務費のモニタリング調査に着手した。日本建設業連合会、熊本県建設業協会、全国建設産業団体連合会、建設産業専門団体連合会に協力を依頼し、技能労働者の労務費を調査する。調査結果に応じ、臨時の単価改訂も行えるようにする。
また、営繕工事の不調・不落の発生を防止するため、営繕積算方式活用マニュアルの「熊本被災地版」も作成する。小規模改修工事が多い熊本地震の復旧工事の特徴を踏まえ、従来のマニュアルを一部見直す。1月に直轄の営繕工事で導入した一般管理費等率の見直しも、県内の市町村に導入を働き掛ける。
提供:建通新聞社