国土交通省の社会資本整備審議会は1月20日、公共建築工事の発注者の役割と国交省による支援策の充実を求める提言をまとめ、石井啓一国交相に答申した。答申では、発注者の役割が、企画・予算措置を行う事業部局と連携し、適切な設計・工事の発注条件をまとめることにあると明確化。国交省に対しては、答申で示した発注者の役割に関する解説書を作成することに加え、技術基準を総点検し、必要に応じて改定することを求めた。
社整審の官公庁施設部会における議論を踏まえてまとめたもの。答申では、公共建築工事の発注者の一部は、体制・職員配置・経験などが十分でないために「適正な予定価格の設定」など、品確法の発注者責務を果たすことできていないとして、発注者の役割を整理した上で役割を適切に果たす方策を提言した。
具体的には、事業部局が決める建築物の機能・規模・敷地・工程・設計費・工事費などが発注条件の基礎になるものと重要視し、事業部局に対し、発注者(発注部局)が適切に技術的助言を与える必要性を強調した。
その上で、発注者の最大の役割を発注条件の作成にあると定義。特に、設計業務の発注条件に示されない事項は設計図書に反映されず、設計図書に反映されない事項は工事にも反映されないと訴え、必要な事項を過不足なく発注条件に盛り込むことを求めた。
国交省に対しては、まず答申に示された役割を全ての公共建築工事の発注者が自覚できるよう、解説書を作成して理解を促進すべきと記載。体制・職員配置などの理由で、役割を果たせない発注者を支援するため、技術基準の総点検と改定、技術基準のFAQ(よくある質問)の作成、市町村職員に対する研修、建設業団体との継続的な意見交換などを行うことを求めている。
提供:建通新聞社