厚生労働省は、長時間労働が疑われる1万0059事業場を対象に労働基準監督署が行った重点監督指導の実施結果を公表した。建設業はこの10・1%に当たる1012事業場で重点監督指導を実施。このうち532(52・6%)の事業場で労働基準関係法令の違反があった。
重点監督指導は、労働基準法第32条の規定に反する1カ月当たり80時間を超える残業が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった事業場を対象として、2016年4〜9月に行った。
労働基準監督署が重点監督指導を行った1万0059事業場のうち、違法な「労働時間」(時間外労働)に対して是正・改善を指導したのは4416事業場(43・9%)で、違反事項の中で最も多かった。労使間で36協定が結ばれていない事業場や、36協定で定める限度時間を超えて労働させている事業場などもあった。労働者に1カ月で80時間を超える残業をさせていた事業場が3550事業場(78・1%)もあった。
次いで多かったのは、健康診断の実施など、法の第66条に規定されている「健康障害防止対策」に違反していた1043事業場(10・4%)、これに法の第37条に違反し、「賃金不払い残業」の実態が明らかとなった637事業場(6・3%)が続いた。
労働基準関係法令違反のあった建設業の532事業場のうち、最も多かった違反は「労働時間」311事業場(58・4%)。次いで「賃金不払い残業」59事業場(11%)、「健康障害防止対策」37事業場(7%)が続いた。
厚労省は、1カ月に80時間を超えて残業させていると疑われる事業場などに対する監督指導を徹底するなど、長時間労働の是正に向けた取り組みを積極的に行っていくことにしている。
提供:建通新聞社