国土交通省は1月16日、「東日本復興CM方式の検証と今後の活用に向けた研究会」を開き、地方自治体が復興CM方式を活用する際の留意点や今後の検討課題を示した。復興CM方式では、UR都市機構が工事請負代金と別枠で「リスク管理費」を設け、当初契約の変更時に活用。同省では、自治体が復興CM方式を活用しやすいよう、リスク管理費の契約上の位置付けを明確にする必要性を指摘した。
リスク管理費は、東日本大震災で被災した市町村と委託契約を結んだURが、事業の進展に伴って工事請負代金が積み上がることに備え、工事請負代金と別枠で確保していた。設計変更で工事原価が増加する際、発注者とCMRが事前に合意していたリスク分担表に基づき、リスク管理費を変更額に充当した。
復興事業では、事業全体の整備計画が不確実で、設計変更によるコストの増加が予想されたため、リスク管理費によって受発注者間の協議を円滑化した。例えば、福島県いわき市の復興CM方式では、工事請負代金の約10%をリスク管理費と設定していたという。
研究会の参加者は、リスク管理費を「極めて先進的」と評価する一方、被災地以外の自治体の活用に備え、制度上の課題を整理する必要性を指摘。リスク管理費の概念は現行制度上位置付けられていないため、積算体系への位置付けが可能か検討する必要があるという。
研究会では、自治体が復興CM方式を災害復旧工事や通常の公共工事で活用するため、東日本大震災の被災地での同方式の成果を検証している。16日の会合で国交省は、高台移転などの大規模工事を早期に実施するケースや、多くの箇所の復旧を効率的に実施する必要があるケース、技術的難易度が高い工事などへの適用が見込まれると整理した。
通常の公共工事については、事業全体のマネジメント業務をCMR(コンストラクション・マネジャー)と発注者が契約する際、請負契約を前提とする建設業法の位置付けが不明確との留意点も提示した。
同省は、3月に開く次回会合で提言の大筋を固めたい考えだ。
提供:建通新聞社