国土交通省は、社会資本の維持管理や除雪を包括的に発注する「地域維持型契約方式」の導入状況(2016年度契約実績)をまとめた。16年度に同方式を導入した都道府県は22団体で、業務内容別では道路維持管理が462件・167億円と契約総件数・金額ともに最も実績が多かった。請負形態では、地域維持型JVへの発注が10団体と最多で、単体の7団体、事業協同組合の4団体が続いている。
地域維持型契約方式では、これまで社会資本の維持を担ってきた地域の建設企業数が減少傾向に陥っていることを踏まえ、社会資本の維持管理、除雪、災害応急対応などの異なる事業や複数の工区を包括的に発注できるようにした。11年に閣議決定した入札契約適正化指針に盛り込まれたもの。
地域の建設企業の継続的な協業関係を確保するため、技術者の専任要件を緩和した地域維持型JVも合わせて導入された。
国交省の調べによると、16年度に地域維持型契約方式を導入した都道府県は22団体。契約件数では、道路維持補修に同方式を採用した長野県が97件と最多で、熊本県の88件(道路植栽管理)、三重県の64件(公共土木施設の維持修繕、雪氷対策、道路除草)などが続いた。
契約総額では、49管内の除雪業務に同方式を採用した北海道が112億円と突出して高い結果が出ている。
業務内容別では、道路維持管理の契約件数が462件で最も多く、契約総額でも167億円と最大だった。除雪は103件と契約件数は道路維持管理の4分の1だが、契約総額は165億円とほぼ同規模。1件当たりの平均契約額が4倍と道路維持管理よりも大きなロットで発注されていることが分かった。
しかし、16年度に同方式を導入した都道府県22団体でも、契約総額10億円未満が半数以上を占めていることから、国交省は「地域維持型契約が十分に浸透しているとは言いがたい」と認識。このため、地域の建設企業が安定した受注を確保するため、各発注者が複数企業・複数事業・複数年度で契約を結びやすい方策を検討する考えでいる。
提供:建通新聞社