国土交通省が行った2016年度下請け取引等実態調査で、技能労働者の賃金水準を引き上げた(予定含む)と回答した建設業者が前年度比1・2ポイント増の69・8%を占めたことが分かった。賃金水準を引き上げた建設業者は4年連続で増加したが、過去3年と比べて伸び率が鈍化した。下請け取引で是正指導の対象となる30項目のうち23項目で、適正取引を行っていると応えた割合が増えた。
調査対象は、無作為で抽出された建設業許可業者1万4098者で、このうち1万2184者(回収率86・4%)が回答した。
賃金水準引き上げに関する設問は13年度に新設。初年度に賃金水準を引き上げたと回答した建設業者は全体の50・2%だったが、14年度に11ポイント増の61・2%、15年度に7・4ポイント増の68・6%、16年度に1・2ポイント増の69・8%となった。
この4年で、賃金水準を引き上げた建設業者の割合は累計19・7ポイント増加したことになるものの、16年度の伸び率は過去3年で最も低い結果となった。賃金水準を引き上げていない建設業者にその理由を尋ねると「請け負った価格が低く、賃金引き上げの費用を捻出できない」「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」との回答が多かったという。
一方、建設工事を下請けに発注したことのある建設業者9778者の回答で、建設業法で是正指導の対象となる見積もり・契約・支払いなどに関する30項目のうち23項目で適正回答率が上昇した。国交省は、建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者に指導票を送付するとともに、許可行政庁による立ち入り検査も実施するとしている。
提供:建通新聞社