国土交通省は、中堅・中小建設業の海外進出支援策を検討するため、12月21日に有識者会議(座長・草柳俊二東京都市大学客員教授)の初会合を開いた。進出リスクなどについて意見を交わした他、進出ニーズや課題を把握するためのアンケート調査の実施を決めた。
中堅・中小建設業の海外活動の実態や、進出する際の課題を把握した上で、有効な支援策を検討するために開いたもの。日本電設工業協会や日本空調衛生工事業協会、日本貿易振興機構(JETRO)の関係者らが会議メンバーとして名を連ねている。
会議の冒頭にあいさつした海堀安喜建設流通政策審議官は、「中堅・中小建設業に関する事例は少ない。アンケート調査や他産業の事例収集に努め、建設産業に広く展開していく」との考えを示した。
意見交換では、代金未払いなどの契約トラブル、商慣習や法制度の違いといった進出リスクへの対応策を求める意見が相次いだ。また、元請けや下請け、販売など、進出形態に応じた課題整理を行うべき、との指摘もあった。
2017年3月上旬に予定している次回会議では、これらの議論を踏まえ、有効な支援策の検討を進める予定。
また、アンケート調査については、17年2月から3月にかけて行うことにした。中堅・中小建設業に対して、海外進出の予定、活動希望エリア、求める支援策などを尋ねることにしている。
日本企業の海外における建設受注実績は、アジア諸国の経済成長に伴い、年平均1・5%程度増加している。特に、ここ数年は10%を超える伸びを示し、14年には1兆8000億円を初めて突破した。国交省では大規模プロジェクトを中心としたインフラシステム輸出戦略を進めるとともに、中堅・中小建設業への支援を強める方針だ。
提供:建通新聞社