国土交通省は12月20日、公共建築工事積算基準を改定し、建築・電気設備・機械設備の一般管理費等率をいずれも引き上げた。公共建築工事での一般管理費等率見直しは19年ぶり。合わせて直接工事費に含まれる下請け企業の経費率も引き上げた。今回の見直しにより、鉄筋コンクリート造4階建て延べ3000平方bの中規模庁舎では、予定価格を2・6%押し上げる効果があり、小規模工事ほど伸び率は大きいという。例年4月1日の基準改定を前倒しし、2017年1月1日に入札公告する工事から適用する。
公共建築工事の工事価格は、直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等で構成。一般管理費には元請け企業の本支店の経費(財務諸表の販売費と一般管理費に相当)を計上している。
直轄工事では、15年4月に土木工事の一般管理費等率を引き上げていたが、公共建築工事では受注者約450社を対象に財務実態調査を行った上で見直しの是非を判断するとしていた。
調査結果を踏まえて引き上げた一般管理費等率は、工事原価に応じ、建築が8・43〜17・24%、電気が8・06〜17・49%、機械が8・07〜16・68%となる。建築で見ると、工事原価30億円超の工事の伸び率は0・02ポイントとわずかだが、500万円以下では5・98ポイントと高く、小規模工事ほど伸び率が高くなっている。
同省では合わせて、直接工事費に含まれる下請け企業の経費率も引き上げた。下請け企業の職種に応じて設定される経費率は、平均で約5ポイント上昇した。
一般管理費等率と下請け企業の経費率の引き上げで、予定価格9億円(建築5億、電気2億、機械2億)の中規模庁舎の予定価格は2・6%上昇する見込みだ。
公共建築工事積算基準は、国の統一基準と位置付けられているため、国交省に続き、この他の中央省庁も17年1月1日以降に改訂後の基準を順次適用する。この基準を採用している地方自治体も多いため、同省は20日付で都道府県・政令市に事務連絡を送り、今回の改定内容を周知した。
提供:建通新聞社