「魅力ある地域建設産業の未来創造 ―国土をつくる「人」をつくる―」―。中部建設青年会議(伊藤友輔会長・林工組社長)が主幹を務める全国建設青年会議第21回全国大会が2日、東京都内で開かれた。全国9地区ブロックから約480人の次代を担う青年建設人が出席した。講演やパネルディスカッションを通して、青年建設人に課せられた使命とは、誇り高き役割とは何か。そして将来の建設業を支え、国土に働き掛ける人材をどのように増やしていくのかなど、眼前に突きつけられている課題に真正面から向き合った。
同大会会長を務める伊藤会長は、「建設業の未来をどう切り開いていくのかに本質がある。21回目を迎える本大会はリスタート≠フ位置付けでもある」とした上で、「われわれ青年経営者自身が、建設産業の魅力を感じ、伝え、実践し、同じ景色を見ながら明日に向かう心構えと行動指針を共にしたい」とあいさつした=写真。
来賓として出席した石井啓一国土交通大臣は、担い手の確保・育成に向け、生産性向上への施策を具体的に進めている現状を紹介した上で、「魅力ある建設業をどのように実現していくのかという本日の大会テーマは、国土交通省が目指す取り組みと軌を一にしている。有意義な議論が展開されることを期待している」と激励した。
木下勝貴大会実行委員長が大会趣旨を説明した後、国土交通省技監の森昌文氏が、「国土交通行政をめぐる最近の話題」と題して特別講演。「建設現場の生産性を2025年までに2割向上させるためにi−Constructionを導入しようとしている。これまでより少ない人数、少ない工事日数で同じ工事量を実現させるためには何が必要なのか、どうしたらいいのか、一緒に悩み考え、提案してほしい」と要請した。
基調講演の第1部では、宇宙飛行士であり内閣府宇宙政策委員会委員の山崎直子氏が「宇宙・人・夢をつなぐ」と題して講演。自身の宇宙飛行士になるための訓練を振り返り「ルールは万能ではない。コミュニケーションを通じて、必要な行間を詰め、相手の理解を深めていくことが、何かを成し遂げる上で重要になる」と強調した。
基調講演の第2部では、トヨタ自動車専務役員の河合満氏が「トヨタ自動車のものづくり、現場の人材育成」と題して講演した。「TOYOTA WAY」と「トヨタ生産方式」を概説しながら、「改善は無限である。技能と技術がスパイラルアップしていくことが重要」と指摘。「真の人材とは、成績の良い人より、課題に挑戦する人である」と力説した。
パネルディスカッションでは、「国土をつくる『人』をつくる ―私たちにできること―」をテーマに議論した。パネリストは、国土交通省大臣官房の五道仁実技術審議官、おもてなし創造カンパニーの矢部輝夫社長、中部建設青年会議の田村充宏副会長の3人。ハタコンサルタントの降簱達生社長がコーディネーターを務めた。矢部氏は「人生はドラマである。さまざまな壁を一つ一つ乗り越えていくことこそが感動的なドラマを演出する」と強調した。田村氏は「われわれが地域の国土を守り、支えているんだという矜持(きょうじ)≠持ち行動していきたい」と決意を語った。
提供:建通新聞社