国土交通省は12月5日、「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」で、現場作業員に加入を求めている『適切な保険』を周知する文書を建設業団体と都道府県に送付する。ガイドラインで2017年度以降に現場入場を制限すべきとした社保未加入の作業員は、事業所の形態などに応じて加入する保険が異なる。対策の目標期限が迫る中、改めて加入すべき保険を整理し、建設業団体を通じて建設業界に周知する。現場入場制限の取り扱いに関する1問1答なども添付する。
元請けが各現場で下請けに加入指導を行うための下請指導ガイドラインでは、17年度以降に「適切な保険に加入していることを確認できない作業員については、元請け企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取り扱いとすべき」と記載している。
しかし、この『適切な保険』の解釈が一部に浸透せず、法令上認められた保険に加入している作業員が、元請けから誤った加入指導を受けているとの指摘がある。
このため、国交省はガイドラインで加入を求めている適切な保険を事業所の形態・常用労働者数・就労形態で整理した文書をまとめ、5日付で建設業団体と都道府県に送付する。
文書では、年金事務所に健康保険被保険者の適用除外の手続きを行い、国民健康保険組合の被保険者となった場合は、改めて協会けんぽの被保険者になる必要はない、と明記。事業主である一人親方は、個人で国民年金や国民健康保険に加入することになるが、請負の形式で現場に従事していても、実態が労働者であれば、雇用する企業が保険に加入させることが求められるとしている。
また、現場入場の取り扱いに関する国交省の見解を示す1問1答では、従業員が4人以下の小規模な個人事業所などは、法令上、健康保険や厚生年金保険への加入義務はなく、ガイドラインでも、従業員に協会けんぽや厚生年金保険への加入を求めないと明記。ただ、従業員4人以下の小規模事業所でも、雇用保険については、雇用する労働者が1人でもいれば事業主には従業員を保険に加入させる義務があるとも記載している。
同省は、今年7月から全国47都道府県の社会保険労務士会に建設企業向けの無料相談窓口を設けるなど、相談体制の充実を図っている。社会保険加入に関する疑問のある企業に対しては、この相談窓口を利用することも合わせて呼び掛けている。
提供:建通新聞社