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2016/11/24

法定福利費の減額調整 建設業法違反の恐れ

 政府は11月22日、工事請負契約で法定福利費の不当な値引きや工事費との減額調整が行われた際の行政指導に関する答弁書を閣議決定した。答弁書では、こうした行為が建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」に当たる恐れがあり、建設業許可部局が書面による指導を行う対象となる記載。加えて、建設業法19条の3に違反した元請けを許可部局が公正取引委員会に対し、独占禁止法に基づく指導・勧告も要請できるとした。
 自由党の青木愛参院議員の質問主意書に答えたもの。国土交通省のアンケート調査(2015年11月時点)によると、法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)を提出した結果、法定福利費を減額された下請けは6・5%、法定福利費は減額されなかったものの、見積総額を減額された下請けは36・7%あったという。
 答弁書では、請負金額が必要な原価を満たさず、下請けの元請けに対する取引依存度が高ければ、不当に低い請負代金を禁止する建設業法第19条の3に違反する恐れがあると記載。その上で、こうした行為に及んだ元請けには、建設業許可部局が書面で行政指導を行うことになると明記した。
 さらに、元請けが建設業法19条の3に違反している事実が確認されれば、公取委に独禁法上の指導・勧告を行うよう要請できるとしている。
 主意書ではこの他、2017年度以降、社会保険に加入していない作業員の現場入場を制限するよう求めた「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」が、民間工事にも適用されるかを質問。答弁書では、ガイドラインが公共工事・民間工事を問わず、作業員に適切な保険に加入するよう求めていると回答した。

提供:建通新聞社