国土交通省が行ったアンケート調査で、全国の市区町村の約6割が、定期点検で「早期に措置を講ずべき状態」(判定V)と判定された橋梁について、5年以内に修繕を実施できないと回答していたことが分かった。人口1万人未満の町村では、住民1人当たりが負担する修繕予算の平均額が20万人以上の市の8・5倍となるなど、小規模な市区町村ほど修繕費用の負担が重い現状がある。国交省は調査結果を踏まえ、自治体が安定した修繕予算を確保できるよう、地方の費用負担を支援する仕組みの検討に入る。
2014年7月、道路管理者に対して、全ての橋梁・トンネルを5年に1度のペースで点検し、健全性を4段階(判定区分T〜W)で診断することが義務付けられた。
14・15年度の2カ年で早期・緊急に修繕すべきと「判定区分V・W」と診断された全国の橋梁は2万4351橋。このうち、市区町村が管理する橋梁は1万4680橋と全体の60・3%を占める。
そして、国交省が行ったアンケート調査に対し、現在の予算規模では5年以内に修繕を行うことができないと回答した市区町村が58%に上った。
16年度の市区町村の修繕予算は平均約2億0700万円。人口規模別に見ると、1万人未満の町村で8600万円、1万人以上の町村で1億0600万円、5万未満の市で1億7700万円などとなっている。
人口と橋梁数は比例しておらず、20万人以上の市の住民1人が負担する平均修繕予算が年間2000円であるのに対し、人口1万人未満の町村では1万7000円と8・5倍になる。
国交省は、道路の老朽化対策を確実に進めるための安定した予算確保が必要だとして、自治体の修繕費用を支援する仕組みや、予算拡充の必要性を国民に訴える方策などを検討する。自治体の技術職員不足を補うため、直轄国道事務所が地域の実情に応じて市区町村を支援する体制も整える。
提供/建通新聞社