国土交通省は、直轄国道と高速道路に架設されている橋梁の耐震補強を2017年度からの10年間で完了させる方針を決めた。落橋・倒壊の防止対策に加え、路面に段差が生じないように支承の補強・交換などの対策を講じる。当面の5年間は、今後30年間に震度6弱以上の地震が発生する確率が高い太平洋側の地域で対策を先行させる。また、熊本地震で落橋したロッキング橋脚橋約450橋の耐震補強も3年程度で完了させる。
今後10年で耐震補強を完了させるのは、緊急輸送道路に指定されている直轄国道と高速道路に架設された橋梁のうち、1996年度以前に完成した延長15b以上の橋梁。当面の5年間は、政府の地震調査研究推進本部が今後30年間に震度6弱以上の地震が発生する確率が26%以上あると予測している太平洋側の地域で対策を先行させる。
被災後も速やかに機能が回復することを目指し、落橋・倒壊を防止する対策と支承の補強・交換などを組み合わせて実施。落橋防止装置の設置に加え、曲橋・斜橋は桁かかり長を確保して横変異拘束構造とする。橋脚の巻き立て対策なども行う。
一方、熊本地震で落橋したロッキング橋脚については、構造の特殊性から対策が不十分で落橋の可能性が否定できない。このため、高速道路と直轄国道や、高速道路と直轄国道を跨ぐ跨道橋のうち、ロッキング橋脚を持つ約450橋について、17年度から3年程度で耐震補強を完了させる。
さらに、高速道路と直轄国道に架設されている跨道橋のうち高速道路会社や国交省が管理している橋は落橋・倒壊防止対策を完了しているが、自治体管理の9%に当たる約400橋は対策を終えていない。今後5年間で、少なくとも落橋・倒壊の防止を満たす対策(落橋防止装置の設置、橋脚補強)を完了できるよう、社会資本整備総合交付金などで優先的に支援する方針だ。
提供/建通新聞社