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中央ニュース

2016/11/18

連載「測る、描く、守る」 第11回・宇宙・空・地上から情報収集

 私たちは、諸外国と比べ、風水害や地震、火山噴火など自然災害が多く発生する国土に暮らしています。今年も熊本地震、台風や大雨などによる災害が発生し、大きな被害を受けました。国土地理院は、頻発する災害から国土や人命、財産などを守るため、「災害情報をより早く、正確に、わかりやすく」をモットーに、測量・地図分野の新旧の技術を駆使して、「宇宙・空・地上」の3面作戦で災害情報を収集し、地図上で「見える化」しています。

熊本地震によって被災した阿蘇大橋周辺の状況

 「宇宙」からは、GPSなどの測位衛星や地球観測衛星「だいち2号」で観測したデータを分析して大地の動きを広域的に把握しています。前者のデータ分析には全国約1,300箇所に設置されている電子基準点が威力を発揮します。これらの分析結果は、政府の地震調査委員会などに報告し、地震や火山活動の評価に活用されるとともに、応急対策活動などにも使われています。

 「空」からは、航空機搭載のカメラによる撮影やレーザスキャナによる地面の高さの計測、並びにドローンによる撮影を実施し、災害の発生時には被災状況を正確に把握しています。これらの情報は、防災関係機関に速やかに提供し、被害状況の把握、救助救援、罹災(りさい)証明の交付、復旧復興計画策定などの資料として活用されています。

 「地上」では、地表の変化をより高密度・高精度に把握しています。「宇宙・空」からの広域的・面的な情報収集を補完するため、現地での測位衛星を用いた測量、地上型レーザ計測による三次元データの取得を機動的に行っています。

 また、得られた情報は、国土地理院のウェブ地図である「地理院地図」上で、災害発生以前に撮影していた写真や、整備していた地図と重ね合わせたりして、分かりやすく発信しています。

 国民の命と暮らしと国土を「守る」ために、国土を「測り」、「描いた」災害対応のこうした情報は、国土地理院ホームページ「災害関連情報」で公開しています。災害の発生直後だけでなく、災害を振り返って今後の教訓とするためにも大いに役立つ情報です。ぜひご活用ください。(国土地理院)