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2016/11/16

工事採算性の改善続く 東日本建設業保証 中小建設業の決算分析

 東日本建設業保証は、同社管内の中小建設業の2015年度決算分析をまとめた。総合的な収益性を示す「総資本経常利益率」の平均は4・24%で、前年度より0・42ポイントダウンしたが、工事の採算性の指標となる売上高総利益率は0・56ポイント増の20・78%で、8年連続して改善した。生産性の代表的な指標である「1人当たり付加価値」も、平均で前年度より40万円高い998万円にアップした。同社では、一部の指標で下降が見られるものの、公共工事の予定価格の適正化やダンピング対策、工事量の増加などを背景に、良好な財務指標が維持されているとみている。
 同社が決算書(15年4月期〜16年3月期)の提出を受けた中小建設業のうち総合建設業(土木建築、土木、建築)・電気工事業・管工事業の計2万3036社を対象に調査。「建設業の財務統計指標」としてまとめた。
 収益性では、「総資本経常利益率」の他、「売上高経常利益率」も下降。前年度と比べ0・12ポイント低い2・32%だった。しかし、これらの指標は10年度に上昇に転じて以降、前年度まで上昇を続けてきた。同社では「15年度は若干のマイナスだったが、指標としては良好な状態が続いている」(業務部)という見方だ。
 「総資本経常利益率」を業種別で見ると、電気が7・42%と最も高く、土木建築と建築が3・43%で最も低かった。売上高別では30億円以上のクラスが6・43%と最も高く、1億円未満のクラスが1・57%と最も低い。地区別では5・54%の東北が最高で、甲信越が3・42%と最も低かった。
 平均998万円に上昇した「1人当たり付加価値」を業種別で見ると、土木建築が1127万円と最も高く、管が852万円で最低だった。売上高別では、30億円以上のクラスが1828万円と高く、1億円未満のクラスが619万円と低い。地区別では、東北が1056万円で最も高く、921万円の甲信越が最低だった。
 収益性や生産性の指標は、復興需要によって東北地方が高水準だった。
 また、資金の流動性を示す「当座比率」は平均250・75%で、前年度に対して7・67ポイント上昇した。
 財務体質の健全性を示す「自己資本比率」は、前年度より3・13ポイントアップし、平均28・58%だった。

提供:建通新聞社