国土交通省は11月10日、建設現場への全面的なICT技術活用について産学官で意見を交わす「ICT導入協議会」の3回目の会合を開き、ICT施工を普及させるための重点プログラムを決めた。今年4月から直轄工事に導入されたICT土工の出来形管理基準・要領を改訂して規定を緩和する他、UAV・地上型レーザースキャナー以外の面的計測機器に対応する計測基準も整備する。ICT土工用の積算基準を見直すことも検討する。
重点プログラムは、協議会に参加する関係団体の意見に対応する形で、国交省がまとめたもの。
ICT土工の基準類の運用を巡っては「規定が厳しく生産性を損ねている」といった声があることから、現場への適用性を調査した上で2016年度末に改訂する。今年3月に制定された出来形管理基準は、面的な出来形にばらつきが生じるとの声もあるため、規格値の妥当性を調査する。
出来形管理要領で定める写真測量のラップ率や地上解像度なども、計測精度を考慮して緩和する。
UAVや地上型レーザースキャナー以外の面的計測機器の活用も検討する。具体的には▽地上移動体搭載のレーザースキャナ(MMSなど)▽レーザースキャナ搭載UAV▽IMU搭載型UAV▽地上移動体搭載のステレオカメラ―の5機種に対応できるよう、出来型管理要領や監督検査要領を改訂する。
積算基準は「ICT土工用の積算基準の費用が合わない」「一律の歩掛補正ではなく、実績に応じて施工パッケージに反映してほしい」といった意見を踏まえ、施工合理化調査で実態を把握した上で見直す。
重点プログラムではこの他、土工以外の工種にICT施工の拡大を検討する方針も示した。NETISで高い評価を受けた技術のうち、現場展開を加速すべきICT技術を抽出し、基準類の新設・改訂など現場実装に向けたロードマップをつくる。また、土工と同時に施工されることの多い舗装・縁石・護岸工・土留などの構造物を対象に、ICT施工に対応した基準類を整備する。
提供/建通新聞社