国土交通省は10月31日、「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」を開き、2016年度末に詳細設計照査要領を見直す方針を示した。三者会議で見つかった修正事例の中から、設計ミスが施工段階のリスクを高める事例を照査項目に追加する。この他、調査・設計分野の担い手の確保・育成に向け、繰越制度や国庫債務負担行為を活用した履行期限の平準化を図るとともに、全ての地方整備局で配置予定技術者の産休・育休期間を考慮した技術評価を原則化する方針も示した。
設計成果の品質を確保する詳細設計照査は▽樋門・樋管▽排水機場▽築堤護岸▽道路▽橋梁(鋼橋、コンクリート橋)▽山岳トンネル▽共同溝▽仮設構造物―の8工種で義務付けられている。
設計思想の伝達と情報共有を目的に、発注者・設計者・施工者で開く三者会議で見つかった修正事例をベースに、照査項目を追加・修正する。例えば、橋梁では、現地踏査で「既設構造物との取り合いを確認したか」、設計図の照査で「鉄筋と干渉する部材がないか」といった項目を追加する見通し。
さらに、照査要領は1999年度から改定していないため、河川構造物の耐震性能照査指針や道路橋示方書など関連基準類改定との整合も図る。
設計成果の品質確保を巡っては、受発注者で行う合同現地踏査の運用も改善する。業務の初期段階で踏査を行っても効果が得られないケースもあるため、受発注者の協議で実施時期を定めることをできるようにしたり、実施回数を追加できるようにする。
3月末に集中する履行期限を平準化することで、調査・設計分野の就労環境を改善し、若年層の入職・離職防止につなげる。直轄事業では、2011年度に3月を履行期限とする業務件数を全体の50%以下とする目標を定めている。15年度に59・3%だったこの目標達成に向け▽繰越制度(翌債)の活用▽業務内容の追加に伴う履行期限の延長▽適正な工期を確保する国債の活用―などを積極的に進める。
また、総合評価方式で配置予定技術者の過去の実績を評価する際、出産・育児休業の期間を除くことで、出産・育児休暇を取得する技術者が不利にならないような評価方法を取り入れる。既に、関東・近畿・中国地整で導入していることから、全地整での原則化に踏み切る。
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建通新聞社