国土交通省は、施工管理技術検定のうち、2級土木・建築の学科試験を2017年度から年2回実施することを決めた。受験機会を拡大することで若年層に資格取得を促す。建築の2級学科試験については、早ければ17年度から「建築」「躯体」「仕上げ」の3種別で分かれた試験問題を統合することも検討する。また、1級・2級の学科試験合格者に対する「技士補(仮称)」の創設に向け、更新制の導入や有資格者に対するインセンティブについて検討する。
10月19日に開いた「適正な施工確保のための技術者制度検討会」に、これらの技術検定制度見直しについて報告した。
技術検定の受験者数は1級・2級ともに減少しており、同時に受験者・合格者の平均年齢も上昇傾向にある。特に2級学科(土木)では、合格者の平均年齢がこの15年で5歳上昇している。
若年層の受験機会を増やすため、国交省は年1回実施している技術検定のうち、学科試験のみを年2回にする。17年度はまず、もともと若年層の受験者が多い2級土木と2級建築で先行して実施する。学科試験を夏・秋に実施し、夏の試験に不合格でも、秋に再度受験することを認める。
先行する2業種での試験機関の体制、作問の体制、試験の実施費用が増加することに伴う受験料への影響を踏まえ、他業種に拡大するか判断する。
建築・仕上げ・躯体の3種別で資格を設けている2級建築では、種別で異なっていた学科試験の試験問題を統合する。高校在学中に学科試験に合格しても、就職した企業の配属先が受験種別と異なる場合、配属先に応じた種別に再度受験する必要がある。学科試験を統一の問題とし、種別ごとの専門分野の問題は実地試験の段階で行う方向で検討する。
また、学科試験のみの合格者に「技士補」の資格を与えることで、技術者のキャリアステップをより階層化し、資格取得への意識向上を狙う。技士補は1級・2級の双方に設けるが、インセンティブの付与は現場実務の経験のある2級施工管理技士の資格を持ち、1級学科試験を合格した者に限定する見通し。更新制を導入し、定期講習などの受講を求める。
検討会では、技術検定制度の見直しに加え▽技術者配置・専任要件の再検討▽悪質行為者に対する処分規定の導入▽技術者の資格・実績の見える化▽継続教育(CPD)の評価―などについて議論し、17年6月までに提言をまとめる。
提供/建通新聞社