国土交通省は、11月の建設業取引適正化推進月間に合わせ、民間建築主体の元請け企業に対し、法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)の活用指導を強化する。6〜7月に行ったアンケート調査で標準見積書を十分に活用していないと答えた企業に重点的に立入検査を実施する。社会保険未加入対策の目標期限まで半年を切った中、社会保険料の原資である法定福利費の流れを確実にするよう働き掛ける。
国交省は、民間建築主体の大臣許可の元請け約1000者を対象に、6〜7月に標準見積書の活用状況に関するアンケート調査を実施。社会保険未加入対策は、未加入企業の排除などが進んだことにより、公共工事を受注する企業には対策が浸透しつつある。建設業法に基づく立入検査を行うことで、民間建築分野で対策の浸透を狙う。
アンケートでは▽1次下請けへの見積依頼で標準見積書の提出を求めているか▽提出された標準見積書を尊重しているか▽1次下請けに2次以下の下請けに対する標準見積書の提出を指導しているか―など、9項目の設問に回答を求めた。
このアンケート結果を踏まえ、9月末までに地方整備局など6機関が約50者を対象に立入検査を実施した。ただ、立入検査を行った約50者は標準見積書の活用を下請けに指導しているところが大半。今後は、標準見積書を十分に活用していない企業も立入検査で指導するとともに、これまでの立入検査で得られた好事例を普及することも考えている。来年度以降も、標準見積書の活用指導に特化した立入検査を継続的に行う考えだ。
国交省は、未加入対策の目標期限が2017年4月まで残り半年間で、新たな対策も講じる方針。元請けによる下請けに対する指導責任の強化を法制的に位置付ける他、直轄工事で2次以下の未加入企業に対する排除措置を講じることも検討している。
提供/建通新聞社