国土交通省は、先導的な建設分野の外国人技能人材の育成を支援する「外国人建設就労者受入事業に係る人材活用モデル事業」のモデル事業者として、圏友協同組合(埼玉県)、マツザワ瓦店(愛知県)、LIGARE(静岡県)の3者を選んだ。ベトナムやフィリピンで行う日本語教育や教育訓練の事業費を最大で200万円支援する。合わせて、帰国した技能実習生の実態把握を行う情報事業者をアーク教育システム(東京都)に決めた。
技能実習や外国人建設就労者受入事業の監理団体である圏友協同組合は、ベトナムの送り出し機関が所有する教育訓練施設を活用し、現地の技能人材に内装仕上げ・左官・塗装・とび・型枠・鉄筋などの座学・実技の講習を行う。技能実習で日本に滞在した技能人材らを対象に、日本語や建設技能の実技、安全衛生講習などを行い、外国人建設就労者として再び日本で就労する機会を提供する。
マツザワ瓦店は、現地の職業訓練校と連携し、フィリピンの技能人材に日本語教育、屋根工事などの教育訓練を行う。日本に入国後は、利根沼田テクノアカデミー(群馬県沼田市)で3カ月程度の実習を行うことも予定している。職業訓練校の指導員を育成するなど、日本の建設技能・教育システムを展開することも視野に入れる。
LIGAREは、帰国した技能実習生を指導員とし、ベトナムで技能者教育を行う。日本に入国した外国人技能人材には利根沼田アカデミーで実習することも予定している。太陽光発電事業を手掛ける同社の現地法人が、技能実習修了後に帰国した技能人材を受け入れ、さらに技能教育を行うことも予定。
一方、情報収集事業は、東南アジアなどで日本語学校を運営するアーク教育システムが担う。技能実習を修了し、帰国した外国人技能人材は、賃金の低い建設分野にとどまらず、他分野に職を求めているとの指摘がある。
送り出し機関や監理団体、現地建設企業などにネットワークを持つ同社は、タイ、フィリピン、ベトナムなど6カ国で帰国後の技能実習生(最大1700人程度)の所在や職業などの現状を調査。国交省はこの調査結果を踏まえ、帰国した外国人技能人材と日系建設企業との求人・求職マッチングシステムを構築する考えだ。
提供:建通新聞社