国土交通省は、直轄工事で4月から導入したICT土工を地方自治体の発注工事に拡大するため、中小建設業に対する実演型の支援を行う。2017年度に全国10カ所程度で自治体にモデル工事を発注してもらい、国交省の費用負担で受注者に施工計画立案を指導。ICT土工に必要な機材も貸与する。モデル工事ごとに、発注者、建設業者、測量業者、建機レンタル業者などの関係者による協議会を組織させ、モデル工事で得られた成果を公開。経営層にICT土工の効果を実感してもらい、機材・人材育成に伴う投資判断を手助けする狙いがある。
17年度予算の概算要求で必要経費4500万円を要求している。モデル工事の発注者となる自治体からの求めがあれば、16年度に前倒しで事業を実施することも視野に入れている。
ICT土工は、4月から予定価格3億円以上で標準化されるなど、生産性向上に全省で取り組む国交省の直轄工事で急速に普及している。
ICT土工は、自動制御のICT建機を使用することで、丁張りが不要になったり、3次元測量データと設計図面との差から施工量を自動算出できるため、土工の施工管理に必要な時間を従来の5分の1に短縮できるといったメリットがある。
国交省は、自治体の発注工事にICT土工を普及させるためには、機材や人材育成に投資が求められる中小建設業がこうしたメリットを正しく理解する必要があると考えている。
このため、まず自治体にICT土工のモデル工事を発注するよう働き掛け、その上で、国交省が費用を負担して、受注者に施工計画の立案やマネジメントの指導、必要な機材(ドローン、計算用ソフト、建機など)を貸与する。
モデル工事の受注者には、施工計画書の公開を求め、協議会に参加する関係者が共有できるようにする。現場見学会や講習会などの場も設ける。
歩掛りの調査など、実演を通じた効果検証を行い、ICT土工のメリットを関係者間で共有してもらう。
提供/建通新聞社