国土交通省がまとめた、一般会計の総額が6兆6654億円となる2017年度予算の概算要求が明らかになった。公共事業関係費は前年度比16・2%増の6兆0183億円(国費ベース)とし、前年度とほぼ同額の要求額とする。公共事業予算を安定的・持続的に確保した上で、社会全体の生産性を向上させるストック効果の高い事業で経済成長を狙う。国庫債務負担行為の活用などによる施工時期の平準化やICTの全面的な活用などによるi−Constructionも引き続き推進する。
国交省の概算要求額は6兆6654億円(前年度比15・4%増)で、このうち、裁量的経費を対象とする優先課題推進枠で1兆4179億円を要求する。「被災地の復旧・復興」「国民の安全・安心の確保」「生産性向上による成長力の強化」「地域の活性化と豊かな暮らしの実現」の4分野に事業を重点化する。
生産性向上による成長力を強化するため、ストック効果を重視した社会資本整備を推進する。大都市圏環状道路の整備や渋滞対策など、効率的な物流ネットワークの強化に2974億円を計上。国際コンテナ戦略港湾の機能強化にも961億円を要求する。『コンパクト+ネットワーク』の形成に向け、高速道路やインターチェンジ(IC)へのアクセス道路整備などに4352億円を盛り込んだ。
地方自治体による地域を支える社会資本整備を支援する「社会資本整備
総合交付金」には1兆0549億円を求める。交付金事業を効果的に執行するため▽港湾・空港・ICなどの整備と連携したアクセス道路の整備▽PPP・PFIの活用による下水道施設の整備▽インフラの老朽化対策―などに予算を重点配分する。
激甚化する水害・土砂災害、切迫する巨大地震に備えるため、ソフト・ハードを総動員した防災・減災対策を推進する。水防災意識社会の再構築に向けた水害・土砂災害・火山対策に5673億円を要求し、堤防の嵩上げ、堤防構造を工夫する対策などを推進する。南海トラフ・巨大地震・首都直下地震対策にも2235億円を盛り込んでいる。
インフラ老朽化に対応する戦略的な維持管理・更新には4612億円を求め、インフラ長寿命化計画(行動計画)に基づいた対策を講じる。地方自治体の防災・減災対策、老朽化対策を集中的に支援する「防災・安全交付金」には1兆2927億円を要求する。
建設現場の生産性を向上させるi−Constructionには新規で3億円を計上。ICT土工に対応できる人材の育成、自治体・中小建設業者への普及の加速に加え、維持管理・更新や災害対応など、土工以外へのICT導入の拡大を目指す。
提供/建通新聞社