2016年度第2次補正予算案の閣議決定を受け、国土交通省は8月24日、国費ベースで総額1兆2257億円に上る同省関係補正予算案の概要を発表した。一般会計の公共事業関係費は1兆0831億円(事業費ベース1兆6562億円)で、近年では第2次安倍内閣発足後に編成された12年度補正予算の1兆8144億円に次ぐ規模。経済対策で打ち出した21世紀型のインフラ整備、熊本地震や東日本大震災からの復興、防災対応の強化などに予算を重点配分した。さらに、財政投融資として2兆3279億円を確保し、リニア中央新幹線や整備新幹線の整備を加速させるとしている。
8月2日に閣議決定された経済対策の裏付けとなる補正予算案は▽1億総活躍社会の実現の加速▽21世紀型のインフラ整備▽地方の支援▽熊本地震や東日本大震災からの復興や安全・安心、防災対応の強化−の4本柱で編成した。
1億総活躍社会の実現の加速に向けては、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に250億円を計上。耐震性が確保された省エネリフォーム、省エネ住宅への建て替えなどの費用を支援する。
観光インフラやリニア中央新幹線など、21世紀型のインフラ整備にも重点的に予算を配分する。訪日外国人の増加に伴うクルーズ船の寄港需要に対応するため、既存岸壁の改良などに166億円を計上。羽田空港の機能を強化する施設整備には101億円を盛り込んだ。
リニア中央新幹線と整備新幹線の整備に対する財政投融資には2兆3279億円を確保。現下の低金利環境を生かして鉄道事業者に資金を融通し、リニア中央新幹線の全線開業の最大8年前倒し、整備新幹線の整備加速につなげる。生産性の高い物流ネットワークを構築するため、大都市圏環状道路の整備や渋滞対策に1295億円を確保する。
地方の支援では、道路の防災性の向上、安全で快適な通行空間を確保する無電柱化の推進などに187億円を計上。地域の建設業の担い手を確保するため、登録基幹技能者に対する特別講習、外国人建設就労者の育成などに2億5000万円を措置する。
熊本地震・東日本大震災の復旧・復興、災害対応の強化、老朽化対策には、総額7872億円を計上した。このうち、全国的な災害対応の強化やインフラの老朽化対策には5323億円を確保。
河川、海岸、道路、港湾、空港などの防災・老朽化対策に加え、災害時の代替性を確保する道路ネットワークの整備を推進する。
この他、地方自治体が実施する開かずの踏切対策やコンパクト+ネットワークの形成、空き家の活用・除却を支援する社会資本整備総合交付金に1573億円、防災・減災、インフラの老朽化対策を支援する防災・安全交付金に2554億円を盛り込んでいる。
提供/建通新聞社