政府が8月2日に閣議決定した経済対策に基づく文部科学省の2016年度補正予算の概要がほぼ固まった。耐震化や老朽化対策など公立学校と大学施設などの環境整備に約1600億円、熊本地震で被災した公立学校と国立大学・高等専門学校(高専)の復旧・復興などに約200億円を充てる。政府は、8月24日に16年度補正予算案を閣議決定する見通しだ。
公立学校の環境整備は、同省が15年度末までに終えるように求めていた非構造部材の耐震化の積み残しと、構造体の耐震化、改修などを促進する。
また、建築後25年以上が経過して改修が必要となっている建物の面積が、全ての公立学校施設の面積の約7割を占めていることから、老朽施設の更新と長寿命化を進めていく。
一方、国立大学・高等専門学校は「第4次国立大学等施設整備5か年計画」(16〜20年度)を前倒して実施する。
ただ、16年度補正予算で配分される事業費を加えても16年度の国立大学等施設整備費は600億円程度にとどまる見通しで、各大学法人の自主財源と財政投融資などを合わせても、文科省が第4次5計期間中の1年間に要する事業費として試算した2900億円には遠く及ばない見通し。
文科省は第4次5計を策定する過程で、基幹整備に充当する約1380億円や、新増築整備に充てる約1200億円などを合わせ、5計の期間中に約1兆3080億円(年間約2600億円)の事業費が必要になるなどとした試算を行っていた。
特に、4次5計では、基幹設備の老朽化が研究にも支障を来しているなどとして、老朽化対策の確実な実施の必要性とその緊急性を強調。約2240`の給排水・ガス管、約2490`の電力・通信ケーブルを合わせた約4730`もの更新すべき基幹管路があるとした調査結果を提示し、第4次5計の期間中にこれら基幹管路の約2分の1(約2140`)を整備する場合、約650億円程度の費用がかかる、などとした試算結果も示してしていた。
提供/建通新聞社