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2016/08/18

外国人技能実習の実施機関、書類送検46件

 厚生労働省は、外国人技能実習の実施機関に対して行った2015年の監督指導・送検状況を公表した。監督指導を実施した5173事業場(実習実施機関)のうち3695事業場(71・4%)で労使協定を超えた残業や、危険・健康障害防止措置などの未実施、割増賃金の不払いなどの労働基準関係法令違反が認められた。違反の状況が悪質で、検察庁に書類送検した案件も全国で46件あった。
 最も多かったのは「違法な時間外労働などの労働時間関係」(22・6%)の違反で、「安全措置が講じられていない機械を使用させていたなどの安全基準関係」(20・8%)、「賃金不払残業など割増賃金の支払関係」(15%)―の順に多かった。
 監督・指導、さらに是正勧告を行った事案の中には、技能実習生に特別条項付き36協定の取り決めを超える1カ月に100時間超の時間外労働や、同協定(1カ月1回)を超える休日労働を行わせていたケース、技能実習生に有機溶剤や特定化学物質、アーク溶接などの粉じん作業を行わせていながら、これらの業務に関する特殊健康診断(安衛法第66条)や作業環境測定(同第65条)を実施していないケースもあった。
 一方で、技能実習生が労働基準監督機関に労働基準関係法令違反の是正を求めた申告件数も89件あった。
 最も多かった申告は「賃金や割増賃金の不払」(79件)。「約定賃金額が最低賃金未満」(15件)や「解雇予告手当ての不払いなど解雇の手続不備」(14件)もあった。
 労働基準監督官が検察庁に送検した事例の中には、採石業を営む実習実施機関(法人)が、無資格の技能実習生に最大荷重2dのフォークリフトの運転業務に従事させ、転倒したフォークリフトと地面の間に挟まれた技能実習生が死亡。実習実施機関と現場指揮者が、安衛法第61条(就業制限)と同法施行令第20条(資格が必要な作業)違反に問われた労働災害事案もあった。
 厚労省は、実習実施機関に対する労働基準関係法令などの周知・啓発を継続し、労働基準関係法令違反の疑いがある実習実施機関に対しては監督指導を実施。重大・悪質な事案については送検も辞さない方針だ。
提供/建通新聞社