日本政策投資銀行(DBJ)は、2016年度の設備投資計画調査の結果を基に、16年度の設備投資動向を分析した。製造業は、輸送用機械のモデルチェンジに向けた投資のほか、化学の新素材向け投資や鉄鋼の設備更新・集約投資など、事業基盤強化のための投資が増加。非製造業は、運輸、不動産などでの安全防災対策や、20年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた都市機能強化、鉄道などのインフラ関連投資が続くとみている。
全国の設備投資額(工事ベース)は19兆5,786億円。内訳は製造業が7兆5,529億円、伸び率14.9%。非製造業が12兆0,257億円、同8.9%。
16年度の設備投資には▽政府の経済対策▽雇用・所得環境の改善▽高い世界シェアを持つ素材や部材の需要拡大▽東京オリンピック・パラリンピックに向けた計画的なインフラ整備―などの下支え要因があるとした。一方で、▽英国のEU離脱▽円高の進行▽過剰設備問題を抱える中国経済―などの下振れリスクもあるなどと指摘。「製造業は1ドル110〜115円の為替レートを想定している企業が最も多い」(産業調査部)として、為替レートの変動に留意すべきとしている。
一方、非製造業については、「運輸」での鉄道の高速化や安全防災対策、物流施設整備が継続されるとみているほか、「不動産」での都心部大型開発案件への投資、「サービス」でのホテルの建て替え・改装案件の増加といった「けん引役」の存在を指摘。
中長期的には、人口減少が個人消費の下押し要因にはなるとしながらも、20年東京オリンピック・パラリンピックを見据えたインフラ関連投資が、非製造業の設備投資を下支えするとみている。
この調査の対象は、資本金10億円以上の民間企業。調査は6月24日を期限として実施し、国内設備投資の動向については2,077社が回答を寄せた。回答率は66%。
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建通新聞社