国土交通省は28日、『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』で2017年度以降に現場入場を認めない社会保険未加入の作業員を明確にする通知を建設業団体と都道府県・政令市に送った。ガイドラインは「特段の理由」がない限り、元請け企業が社会保険未加入の作業員の現場入場を認めるべきではないとしており、通知はこの特段の理由の解釈として、(1)厚生年金保険に未加入の60歳以上(2)特殊技能を有する(3)加入手続き中―の3点を挙げ、いずれかに該当する作業員の現場入場を特例で認めるとした。
法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)の活用徹底などを追加するガイドライン改訂に合わせ、社会保険未加入対策の目標期限である17年度以降の対応について、国交省の方針を通知によって明示した。
ガイドラインでは、17年度以降、社会保険の加入を確認できない作業員について、元請け企業は「特段の理由」がない限り現場入場を認めない取扱いをすべきと記載している。
通知は、この「特段の理由」の解釈を明確にし、元請け企業が特例的に現場入場を認める作業員を限定。厚生年金保険に未加入で、現場入場時点で60歳以上の作業員は、新たに加入しても年金の受給資格を取得することが難しいため、現場入場を認める姿勢を示した。ただ、厚生年金保険に加入していなくても、雇用保険への加入は求める。
施工に求められる特殊技能を持つ作業員についても、入場を認めなければ施工が困難になるとして、特例として現場入場を認める。対象の特殊技能には、伝統建築の修繕などを例示している。さらに、社会保険の加入手続きを進め、加入が確実に見込まれる作業員も現場入場を認める。
ただ、これら「特段の理由」で現場入場を認めても、特例的な対応であることを元請けが認識し、引き続き加入指導を行うべきとも記載している。
通知ではこのほか、就労形態に応じて社会保険に加入できるよう、社員として雇用する作業員と請負関係にある一人親方を明確に区分することを求めた。その上で、元請け企業には、作業員名簿に記載された作業員が雇用されている労働者か、請負関係にある一人親方か疑いがある場合、下請け企業に確認するよう要請。下請け企業に対しても、請負関係にある一人親方に再下請負通知書を適切に作成することを求めた。
提供:
建通新聞社