介護保険法の改正に向け、軽度者(要介護2以下)への支援の在り方を検討している厚生労働省は、介護を目的として住宅改修を行う際の工事価格や施工水準の事業者間でのばらつきを抑え、エンドユーザーが希望する適切な改修を受けるための仕組みづくりを社会保障審議会介護保険部会で検討し、年内をめどに介護保険給付の対象となる住宅改修の見直し案をまとめる。住宅改修の工事価格などの取り引き実態を把握するための仕組みについても検討する。
介護保険事業者である市町村は、居宅要介護被保険者などが住宅改修を行った場合、支給限度基準額の20万円を上限に居宅介護住宅改修費を支給することとされている。
ただ、住宅改修の工事価格は施工を請け負う事業者の裁量にゆだねられており、厚労省が実施したアンケート調査でも約6割の保険者が「事業者により技術、施工水準のばらつきが大きい」と答えるなど、利用者にとっての安心・安全をいかに担保するのかが、大きな課題となっていた。
特に工事価格については、住宅改修費が費用の全額を利用者がサービス提供事業者にいったん支払い、その後に保険者である市区町村に給付を申請し、かかった費用の9割分(現金)の払い戻しを受ける「償還払い」となっているため給付データの蓄積がなく、これまで工事価格などの取り引き実態を把握できていないことが問題視されていた。
もう一つの課題とされている施工水準については、社会保障審議会介護保険部会が13年にまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」でも「住宅改修の専門家の育成と活用について推進する必要がある」と指摘されていた。
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建通新聞社