国土交通省は7月25日、技能労働者のキャリアパスや多能工活用の見える化を議論する「キャリアパスモデル見える化検討会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工業大学教授)の初会合を開いた。技能労働者が技術者や経営者へと切れ目なくキャリアを歩んだり、高齢者が活躍した好事例を収集し、業界内に展開。若者が自身のキャリアを描けるようにし、担い手の確保や定着につなげる。多能工は内装仕上工を対象に育成・活用の成功事例を集める。
検討会は、中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会の中間報告で提言された「技能労働者と技術者、経営社間のシームレスなキャリアパスモデルの構築」「高齢者のシームレスなキャリアパスの構築」「複合工(多能工)の育成や活用事例の水平展開」を一体で議論する。
技能労働者は、入職後のキャリアモデルが具体的に示されておらず、また、すでに入職した技能労働者も登録基幹技能者の資格取得以降のキャリアが不明確だ。検討会では、新卒者が将来に夢と希望を持って建設業で働き続けられるよう、技能者から技術者・経営者、技能者から一人親方へのキャリアを歩んだ好事例を集める。合わせて、こうしたキャリアを歩むために必要な技術・知識・経験・資格などを時系列で見える化する。
さらに、技能労働者の高齢化が進行する中、高齢者を担い手確保のターゲットとして位置付けることに伴い、指導者などとして活躍する高齢者のキャリアパスのモデルも構築する。
一方、国交省は、工種の入れ替えがないため、工期短縮や手戻りの排除などにつながる多能工を「マルチクラフター」と位置付け、改修・リノベーション分野で活用を促す。検討会では、内装仕上工で多能工を育成するため、研修・育成手法、技能評価、処遇、キャリアパスなどを明確化。多能工の育成・活用の成功事例を収集し、業界内に水平展開する。
検討会は、2017年の年明けにも提言をまとめる見通しだ。
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建通新聞社